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もし交通事故にあったら、どうする?


阪口充弘

人気絶頂の若手俳優がひき逃げなどの疑いで逮捕され、大きな話題になっています。自動車を運転していると、どんなに気をつけていても、事故にあうことがあります。そんなとき、今回の俳優のように「気が動転してパニックになってしまった」と、とんでもない行動をとらないように、事故にあったときはどうすればいいのか、日頃からよく理解をしておきましょう。

交通事故が起きたときに、自動車の運転者が直ちに行わなければならないことは、道路交通法第72条1項で義務づけられています。それは次の4つです。

  1. 運転停止義務
  2. 救護措置義務
  3. 危険防止措置義務
  4. (警察への)事故報告義務

これらの義務は、加害者、被害者は関係ありません。追突をされた場合など、自身に過失がなくても、腹を立てる前に、相手がケガをしていないか、助けを必要としていないかを確認してください。
また、自転車など軽車両にもこの義務は適用されます。
これらの義務を怠ると、「救護義務違反」や「危険防止措置義務違反」に該当し、10年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科されることになります。事故により人を死傷させてしまった場合の「過失運転致死傷罪」が7年以下の懲役、または100万円以下の罰金なので、これよりも重い刑罰だといえます。

では、4つの義務について、詳しく見ていきたいと思います。

1,運転停止義務

道交法によると「交通事故があったときは(中略)直ちに車両等の運転を停止し」とあります。「直ちに」ということは、”すぐに”ということです。いくら急用があっても、一旦でも立ち去ってはいけません。事故を起こしたり、なにかがぶつかったような異常を感じたら、直ちに停車し、負傷者がいないか、車やものは壊れていないかを確認しましょう。

2,救護措置義務

もし負傷者がいたら救護に努めなければいけません。必要があれば救急車を呼び、到着まで応急処置をします。負傷者に「大丈夫か?」と声を掛け確かめただけで、現場を立ち去ったことで「救護措置義務違反」となった判例もあります。救命救急措置を最優先し、負傷者の状況を十分確認するよう心がけましょう。

3,危険防止措置義務

上で述べたように、事故が起きたときは直ちに停車し、状況確認を行わなければなりません。しかし、その後、2次3次の事故が起きないように、事故車両を安全な場所に移動させる必要があります。なかには現場保全や証拠保全の観点から車両を動かしてはいけないと思われている方もいますが、交差点の真ん中などに放置することは大変危険なので、速やかに路肩など通行の妨げにならない場所に移動しましょう。
車両が故障して動かせない場合や、破片が散乱している場合などもあります。後続車に発煙筒や三角表示板などで知らせたり、通行車両を誘導することも大切です。
安全の確保につとめることがまず大切ですが、事故現場の状況が後日分かるよう、スマホなどで写真を撮っておければなお良いかと思います。

4,(警察への)事故報告義務

この報告も「直ちに」行う必要があります。上記の3つの緊急措置を速やかに行い、その後すぐ110番通報をします。
道交法には、警察に報告すべき事項についても定められています。それは次の5点です。

  1. 交通事故が発生した日時及び場所
  2. 死傷者の数及び負傷者の負傷の程度
  3. 損壊した物及びその損壊の程度
  4. 交通事故に係る車両等の積載物(積載物の内容、数量、飛散状況など)
  5. 交通事故について講じた措置(負傷者の救護措置、危険防止措置など)

警察に交通事故の届けを行わないと、交通事故証明が取得できません。自動車保険から保険金が支払われないこともあります。

上記の4つの義務を行ったら、ご自身が加入されている自動車保険にも忘れず連絡をしましょう。今回は自動車保険については詳しく述べませんが、保険会社の担当は日々事故対応を行っている専門のスタッフです。連絡後は担当者のアドバイスにしたがって、落ち着いて対応しましょう。
事故の現場やその後も、相手と過失割合など損害賠償に関わるような話はしないようにしましょう。口約束だけでも示談が成立とされることがあります。メモ書きにサインをしても有効になります。「言った」「言わない」で揉めることもありましたが、昨今はスマホやドラレコで簡単に録音が出来るので、それを証拠とされることもあるかもしれません。

交通事故にあってしまったらということについて述べてきましたが、事故は起こさないことが、まず大切です。安全運転を心がけてください。