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【お金の算数】割引とポイント還元


阪口充弘

数字は苦手という方は結構いらっしゃると思いますが、お金の問題を判断するには多少の計算は必要です。今回から数回に分けて「お金の算数」として数字の話題を取り上げます。
初回はGOTOトラベルでも気になる割引とポイント還元(クーポン)についてです。

GOTOトラベルを利用して多くの方が旅行をされています。利用された方からは「半額でいけるから、すこし贅沢できた。」など喜びの声を聞きます。実際、お得な制度だと思います。さらに新型コロナで打撃を受けている旅行業者にとって救いとなるキャンペーンでもあります。また、感染拡大への影響などは専門外なのでキャンペーンの是非を述べるつもりはありません。ただ、普段数字を扱うファイナンシャル・プランナーとして、数字の表現について気になったので、純粋に計算問題として取り上げたいと思います。

1,10%割引と10%ポイント還元はどちらがお得?

GOTOトラベルのお話しの前に、そもそも「10%割引」と「10%ポイント還元」はどちらがお得なのでしょうか?
割引はその場で値引きとなりますが、ポイント還元は定価で支払った後に、次の買い物で使えるポイントが還ってきます。ポイントを受け取るにはポイントカードや「~ペイ」といったキャッシュレス決済への登録が必要です。
どちらがお得かを計算するには、ポイントで支払った場合に、またポイントがつくのか、消費税はどう考えるのかで違いがあります。今回は単純に、ポイント支払にはポイントがつかない。消費税は考えないという条件で計算します。
では、例えば10,000円の商品を買った場合で考えてみましょう。

支払った金額は、
$10,000円\times(100\%-10\%) = 9,000円$ ・・・(支払金額)
得した金額は、
$10,000円 - 9,000円 = 1,000円$ ・・・(得した金額)
買った商品の価格は、10,000円 ・・・(手にした価値)

お得度を算出する基準として、手にした価値に対する得した金額を計算すると、
$\frac{得した金額}{手にした価値} = \frac{1,000円}{10,000円} = 10\%$
となります。(当たり前ですが)

支払った金額は、割引がないので 10,000円 ・・・(支払金額)
これに対して、手にした価値は、
$10,000円 + 10,000円\times10\% = 11,000円$ ・・・(手にした価値)
得した金額は、
$11,000円 - 10,000円 = 1,000円$ ・・・(得した金額)
お得度は、
$\frac{得した金額}{手にした価値} = \frac{1,000円}{11,000円}\fallingdotseq  9.09\%$

10%割引の方が、10%ポイント還元よりおよそ1%お得といえます。
その他の割引還元率についても同様に計算したのが、以下の表です。率が高いほど両者のお得度の差が大きくなっています。とはいえ、お得にばかり気をとられて欲しくもない商品を買ったり、価値以上の値付けをされている商品を買うことが何より損なので気をつけましょう。

割引と還元 それぞれの率でのお得度比較
2,GOTOトラベルは50%割引なのか?

GOTOトラベルは半額で旅行に行けるのでしょうか?キャンペーンのホームページなどでは「最大50%お得」と書かれています。「50%割引」とは書いていないのです。
キャンペーンの内容は、
「旅行代金 最大35%割引」 + 「地域共通クーポン 旅行代金の15%」
これを合わせて最大50%とされていますが、上と同じようにお得度を計算してみます。20,000円の旅行をしたとすると、
支払った金額は、
$20,000円\times(100\%-35\%) = 13,000円$ ・・・(支払金額)
もらえる地域クーポンは
$20,000円\times15\% = 3,000円$
このクーポンを全て使ったとして、手にした価値は、
$20,000円 + 3,000円 = 23,000円$ ・・・(手にした価値)
得した金額は、
$23,000円円 - 13,000円 = 10,000円$ ・・・(得した金額)
お得度は、
$\frac{得した金額}{手にした価値} = \frac{10,000円}{23,000円}\fallingdotseq  43.48\%$

従ってGOTOトラベルは43.5%程度の割引と同等と考えられます。キャンペーンに水を差す気は全くないのですが、50%割引ではありません。20,000円の旅行の場合、出費は13,000円です。3,000円分の地域クーポンはもらえますが、旅行期間中に使わなければいけません。20,000円の旅行に3,000円のお土産がセットされて料金が13,000円と考えていただければ良いでしょう。これでも十分お得ですよね。

感染リスクを避けながら、上手に、お得に旅行をお楽しみください。

ライフプランを組んでみる


岩田 よしゆき

これからのお金のことを考えてみるとき、どんな人生を描きたいかまずは思いを張り巡らしてみましょう。

人生における予定や目標を立ててみます。結婚、子供の誕生、転職、マイホーム購入などとイベントを計画することであなたのライフプランが出来上がります。

・子供は2人欲しい

・5年後はマイホームを購入

・老後は毎年2回は海外旅行へ

などと夢や目標を書き込みそこに予算を設定しましょう。

さらに自分のキャリアプランをもとに収入の推移もイメージして具体化していくと、、、 将来の収支をシミュレーションするキャッシュフロー表(CF表)が完成します。 収支の項目をより細かく具現化することで信憑性の高いシミュレーションが完成します。そうすると毎月の家計管理に対する意識も高まります。

このライフプラン作成、CF表作成のタイミングとしては、結婚、子供の誕生、マイホームの購入、定年退職の10年ぐらい前などが最適だと考えます。これらのライフイベントが家計の推移にどんな影響を与えるかが見える化するからです。 そこで問題、課題が見えたらそれに対処する解決策を作成し手を打てばいいのです。

よく皆さんのご相談で老後の資産形成はどれくらい必要と聞かれます。昨今2000万問題が大きく取り上げられましたね。本当に2000万も必要なんですか?答えはYesであったりNoであったり、100人いれば100通りに別れるのが正解です。なぜなら現役時代の収入、将来の夫婦2人の年金額、家族構成、住宅ローンが何歳まであるかさらには退職金がどれくらいあるかなどと人それぞれ違うからです。

このようにライフプラン、CF表を作成するとそれぞれのライフイベントに向けてどれくらいのお金を用意しなければいけないか目標額が明確になります。そのために利用する金融商品もどんなものが適切か明確になったりします。

ライフプラン、CF表の作成はご自身の人生を間違いなく豊かにするためにとても役立つツールだということが分かっていただけるのではないでしょうか? でも自分で作るのは難しそうだなあとか思ったら、我々FPに相談してみてください。一緒に作成をお手伝いさせていただきます。