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投資は 明るい表通りで!


阪口充弘
御堂筋

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて大きく沈んだ株式相場ですが、現在は、ほぼ回復しています。とはいえ、相場の先行きに不安を感じている方が多いのではないでしょうか?こんなときには「最良の予言者は過去なり」の格言にあるように、歴史に学び、基本を再確認することが大切だと考えます。

1929年10月29日のアメリカ株式市場の大暴落(ブラックチューズデー)に象徴される不況は、世界に拡がり長期間続き、世界大恐慌と呼ばれています。 1929年から1932年のあいだにアメリカのGDPが半分程度、世界のGDPも15%減少しました。 今回の金融危機がこの「大恐慌」のようになるのかは分かりませんが、歴史はこのような経験をしてきているということは忘れてはならないと思います。

世界大恐慌により多くに人たちが貧困にあえいでいた1930年に「明るい表通りで -On the Sunny Side of the Street-」という曲がブロードウェイのミュージカルで初演されました。その後、ルイ・アームストロングやエラ・フィッツジェラルドなど多くに演奏されジャズのスタンダードナンバーとなりました。その歌詞に以下のような一節があります。

If I never have a cent
もしも1セントも持っていなくても

I’d be rich as Rockefeller
ロックフェラーみたいにお金持ちになれるだろう

Gold dust at my feet
足下の塵もいつか金に変わるさ

On the sunny side of the street
陽のあたる通りを歩いていれば

「明るい表通りで -On the Sunny Side of the Street-」

投資をしていると、簡単に儲けられる近道や裏道がないかと思ってしまいがちですが、そんなものはありません。この歌詞のように、いつも大通りの日の当たる側を堂堂と歩いて行きましょう。米国には、「資産家は恐慌時に生まれる」という格言もあります。焦らずに、基本をまもっていれば、”足下の塵もいつか金に変わる”と信じて続けることが大切だと思います。そのために大切な投資における3つの基本をおさらいしておきましょう。

「投資 3つの基本」

長期

「じっくりと」相場の上げ下げに過度に一喜一憂することなく、長い期間をかけて世界全体の経済成長といっしょに、自分のお金もゆっくり育てましょう。そのためには、下がったときも逃げずに市場に居続けることが大切です。

分散

「バランスよく」リスクを上手にコントロールするために性質の異なる投資先に複数に分けましょう。例えば、資産の種類により株式と債券、地域により国内と海外に分けます。これだけでも2x2の組み合わせで、国内債券、国内株式、海外債券、海外株式と4種類の分散ができます。さらには、先進国と新興国、大型株と中小型株、バリュー株とグロース株など様々な視点で分散をすればよいでしょう。ただし、頑張って分散をするつもりで何種類もの投資信託を持たれているのに、投資先は全て日本株のインデックス等という方がたまにいらっしゃいます。これではあまり分散の意味がありません。商品ではなく、何に投資をされているものなのか、その中身により分散を心がけてください。

積立

コツコツ特に資産形成期には毎月一定額を積み立てる積立投資がオススメです。一度に投資しようとすると下がったときに買いたいのですが、今が高いか安いかは、後にならないとだれにも分かりません。様子をうかがって待っている間に投資機会を失っています。積立であれば、少額でもすぐに気軽に始められる。毎月一定の金額で買うので、もし価格が下がったら、口数を多く買える。逆に上がったらすこししか買わない。安値でたくさん買い、高値づかみをしないということが自動でできます。(ドルコスト平均法)

投資の基本を意識しながら、iDeCoやNISA,つみたてNISAなど税制優遇制度もしっかりと活用しましょう。

いつも前向きな明るい気持ちで、正々堂々元気よく手を振って、未来に向かって進んでいきましょうよ!
「明るい表通りで -On the Sunny Side of the Street-」

老後に向けて税制優遇を活用する!


岩田 よしゆき

現在は、国が皆さんの資産運用のための税制優遇を打ち出しています。その代表格がNISA、iDecoです。さらに付け加えるとすると、従来からある生命保険の保険料控除ができる個人年金保険などです。

老後の生活資金としてまず頭に浮かぶのは、公的年金ですよね。ただしこれは国民年金だけの人、厚生年金のある人、 厚生年金は、さらには現役時代の収入によってもらえる金額は大きく変わってきます。 まずは年金がどれくらいもらえそうかは知っておいた方がいいでしょうね。そこにどれくらい上乗せしたいか、そう考えると個人年金保険などで上乗せををしっかり抑えておくことがいいんじゃないかと思います。

課税所得が年間330万円から695万円、サラリーマンのほとんどの方がここに当てはまるんじゃないかと思いますが、毎年8万円ぐらいの保険料負担で控除枠を目一杯使うと所得税、住民税合わせて10,800円の還付金が発生します。 銀行の0.001%金利の普通預金に100万円を1年間預けて増える金額が10円だとして考えると還付金の大きさがわかると思います。個人年金保険の代わりに死亡保障が確保できて積立効果もある終身保険などを使うのもアリだと思います。まずは老後に向けて安心な資産形成をベースに確保するということ。

さらに企業型の確定拠出年金に入られてない方は、個人型のiDecoをうまく活用されてみてはどうでしょう。iDecoは、年間掛金を全額所得控除できます。この恩恵を現状60歳まで受けられるのはとても大きいです。運用効果とは別に節税効果分だけでも大きな効果があります。 個人年金保険に個人型確定拠出年金iDecoを老後に向けた資産形成として持つ。iDecoは元本確保型商品から株や債券など変動リスクがある投資信託を選んで組み合わせて運用が可能です。 変動リスクはありますが、20代30代の方はたっぷり時間があるので、長期分散積立投資運用によりリスク低減効果も可能です。

財形も貯蓄手段として節税効果がありますし、現金預金もいざと言うとき、突然の支出が必要になったときのために必要ですが、会社の福利厚生の仕組みに守られているに守られているサラリーマンの方なら毎月の生活費の3ヶ月分から半年分を目安にするくらいでいいのではと思います。

そして毎月の必要額の中で余力があれば、そのお金はNISA、積立NISAで投資信託を運用してみるのもお薦めです。iDecoと同じく長期での運用を考えるなら変動リスクを抑えた運用も可能であったりしますし、いつでもお金を引き出したり、拠出可能な幅で積立額を上げたり下げたり、途中で辞めたり、また再開するのも可能だからです。

以上のような税制優遇の恩恵を被りながら、無理なく老後に向けて資産運用をきっちり行っていける仕組みをつくるのが理想ですね。